信楽高原鉄道紫香楽宮跡駅から貴生川駅まではのどかな山林をかきわけ、峠を越えると高台から見下ろす展望がとてもよい区間。新東名高速が開通するまでは人工物もほとんどなく、ローカル線の醍醐味が楽しめた。
信楽高原鉄道紫香楽宮跡駅は、1987年(昭和62年)7月13日、国鉄信楽線の信楽高原鐵道への転換に伴い開業。駅のホームに向かう道は、東海自然歩道と併用している。
紫香楽宮跡駅をでてすぐ左側にあらわれるのが、信楽高原鉄道事故の慰霊碑がある。1991年5月、信楽高原鉄道とJR西日本の列車が、慰霊碑のあるこの地で正面衝突し、42人が死亡した。
峠の頂上あたりにあるのが、小野谷信号場。1991年に滋賀県甲賀郡信楽町(現・甲賀市)で「世界陶芸祭セラミックワールドしがらき’91」が開催されるにあたり、それまで全線一閉塞で途中駅に列車交換設備のなかった同線の輸送力増強のために設置された。現在は線路の1本ははがされているが、上下列車の主本線とされた列車交換用のものだった。
施工はJR西日本の子会社がおこなったことや、JR西日本、信楽高原鉄道がそれぞれで無認可でこの信号の制御論理を改造し、報告しなかったことがのちにわかっている。